こんにちは。「僕もう50歳」のトモヲです。
Goproと熱暴走
アクションカメラと言えばGoproが有名ですね。数あるアクションカメラの中で、ほとんどのユーザーがGoproを使われていると思います。実はこのGopro、かなり困った問題を抱えています。Goproは標準で防水機能を備えていますが、この防水機能が仇となり、本体に熱がこもってしまうのです。最新のGoproは4K解像度でフレームレートも60や120pが標準となり、内蔵のCPUにかなり負荷がかかり発熱します。そして全面と背面には液晶画面がありこれも発熱します。発生した熱はボディの内側にこもり、樹脂で覆われたボディから逃げていくことができず、最悪の場合、高温のために撮影がストップしてしまいます。いわゆる「熱暴走」です。
プライベートで撮影しているときならまだしも、業務で撮影しているときに「熱暴走」が起こると最悪です。ベストなシーンが撮影できていなかった!というのは絶対に避けなければなりません。
つい先日も、サーキットを走行する車両の撮影に加わった現場で、熱暴走のためにGoproが途中で撮影が止まっていた、という経験をしました。3月の初旬で、気温もそこまで高いわけでもないのに、フロントガラスの内側につけたGopro6が2台とも、走行開始10分程度で落ちていました。
再撮影ができればまだしも、再撮影ができないような1回きりのイベント等の大事な撮影中にこの「熱暴走」が起こると、いろいろと大変なことになります。
というわけで、再発防止対策を考えるために、Goproの熱暴走テストを行ってみました。
Gopro HERO10 Black熱暴走テスト
テストのために最新の Gopro HERO10 Black (以下、Gopro10)を用意しました。
写真のように吸盤でクルマのフロントガラスに取り付けます。
業務でGoproを使用する場合、編集時に画面を拡大したりスロー再生させることが多いため、できるだけ高解像度&高フレームレートで撮影します。
このためテストではすべて下記のモードで撮影を行いました。
解像度 | 4k |
フレームレート | 60p |
画角 | 4:3 |
コーデック | HEVC(H.265) |
フロントガラスに装着した状態での温度は下記です。
外気温 | 24℃ |
車内 | 40.7℃ |
Gopro10(表面温度) | 48.6℃ |
まだ撮影していない状態で、すでに暑い。。。外は涼しいのに。。
サーキットなどで撮影する場合、エアコンの使用が不可の場合がほとんどです。これは車両の性能を最大限に発揮させるためで、そもそもエアコンが付いていない場合もあります。
このようなケースを想定するため、車内の窓は締め切った状態で、エアコンもつけていません。車内に座っているだけでダラダラと汗がでてきて、サウナ状態です。。
それでは早速、Gopro10の撮影をスタート!
と思ったら。。。
しばらくすると、ピピピっという警告音とともに「カメラの温度が高すぎます」というメッセージが表示され、Goproが止まってしまいました。
このときのGopro10の表面温度は55.8℃、撮影時間はわずか6分43秒です。撮影開始前には48.6℃だったのに約7℃も上昇しています。
そこでGopro10の本体にヒートシンクをつけて、温度上昇をなんとか抑えられないかと考えました。
↑こんなヒートシンクを・・・
こんな風にペタペタとボディに貼り付けます↓
放熱効率のUPが少しは期待できそうです。でもなんかキモいですね・・・。
ヒートシンクを付けてキモカワになったGopro10をフロントガラスに装着して、テスト再開。
今度は撮影時間が伸びるかな?と期待したのですが・・・
なんと、4分42秒後に熱暴走で止まってしまいました。しかもさっきより撮影時間が短くなっている・・・。このときのGopro10表面温度は56.8℃、温度上昇は防げなかったようです。
ヒートシンク作戦ダメかぁ~。。
ここで、バッテリーの温度も測定してみましたが、バッテリー自体も55.4℃ありました。
手で触ってもかなり熱いです。ここで考えられるのが「バッテリーがかなりの発熱源になっているのではないか?」ということです。
そこで!バッテリーレスですよ!
バッテリーが発熱源なら、バッテリーをはずせばいいじゃん!
ということで・・。
潔くバッテリーをはずし、内部にもヒートシンクをつけます。
当然ですが、電源は外部バッテリーからUSBケーブルで給電となります。
これなら大丈夫のはず!!
今度こそ成功を確信し、録画スタート!
1分、2分、3分・・と、順調に録画が進みます。
途中、温度を図ると53.5℃。まだまだ録画は順調です。
が・・・
ぬおおおおおおおお・・・
またもや熱暴走ですよ。。
撮影できた時間は5分10秒で、このときの温度は62.9℃。
いままでの結果をまとめるとこうなります。
条件 | 車内温度 | 熱暴走時の 表面温度 | 熱暴走までの時間 (撮影できた時間) |
①通常のバッテリー給電 | 約40℃ | 55.8℃ | 6分43秒 |
②バッテリー給電 +ヒートシンク4個 | 約40℃ | 56.8℃ | 4分42秒 |
③バッテリーレス +ヒートシンク6個 | 約40℃ | 62.9℃ | 5分10秒 |
バッテリーレスの場合、温度が他に比べて上がっていますが、逆に考えれば、さらに温度が上がってもそれだけ耐えられた、ということかもしれません。
そして最後の手段・・
バッテリーレスでも熱暴走してしまうということは、もう成す術がありません。
そこで最後の手段、「エアコン」に頼ることにしました。
ただし、エアコン(A/C)機能は使わないで、送風のみを使用して極力エンジンに負荷がかからない状態にします。
そして、送風口からの風がGopro10に当たるようにします。
送風を始めてしばらくすると、さっきまで40℃前後あった車内温度が36℃まで下がりました。
Gopro10の表面温度も38.9℃。これなら行けそうです。というわけでバッテリーレス+ヒートシンクの状態で再度、録画スタートです。
1分、2分、3分と録画が進み・・・
8分経過しても録画が進みます。
そして、30分経過しても録画が止まることはありませんでした!
ちなみに録画中の温度変化を調べたのが下記です。
1分後 | 40.4℃ |
8分後 | 46.1℃ |
15分後 | 46.4℃ |
31分後 | 45.4℃ |
温度上昇が46℃前後で抑えられていることがわかりました。
当たり前ですが、ヒートシンクに風を当てないと、熱が逃げないということですね。
30分も録画ができれば業務的には大丈夫と判断し、録画を手動で止めてテストを終了しました。
ちなみに同じ送風の状態で、バッテリー挿入状態+ヒートシンクで動作したらどうなるか?と思いこちらもテストしました。
結果は、10分37秒(46.2℃)で熱暴走しました。やはりGopro内部にバッテリーがあると熱暴走が防げないようです。
まとめ
以上の結果をまとめると次のようになります。
バッテリー | ヒートシンク | 送風 | 車内 | 熱暴走時の表面温度 | 熱暴走までの時間 | |
① | あり | なし | なし | 40℃ | 55.8℃ | 6分43秒 |
② | あり | 4個 | なし | 40℃ | 56.8℃ | 4分42秒 |
③ | バッテリーレス | 6個 | なし | 40℃ | 62.9℃ | 5分10秒 |
④ | バッテリーレス | 6個 | あり | 36℃ | 45.4℃(最終温度) | 熱暴走なし |
⑤ | あり | 4個 | あり | 36℃ | 46.2℃ | 10分37秒 |
というわけで、以下のことがわかりました。
- 車内が閉め切った状態で無風の場合は、ヒートシンクありなし、バッテリーありなしに関わらず、5~6分で熱暴走する。
- ヒートシンクが装着され風がGopro10に当っている状態では、バッテリーレスならば熱暴走しない。
したがって、熱暴走対策では下記が有効と思います。
Goproの熱暴走対策3か条
・必ずバッテリーを外す
・必ずヒートシンクを装着する
・必ず外気送風で風を当てる
以上、トモヲがお伝えしました。
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